第2回 SKETCH SHOWの魅力
SIDE A ボク ナニカ ステキ スル
2002年9月17日のことだった。ここ数年「ハリー&マック」「TinPan」と、自身の音楽を振り返ってきた細野晴臣氏と、「コンシピオ」レーベルを立ち上げ、若手アーティストと積極的にコラボレートしてきた高橋幸宏氏が「SKETCH SHOW」を結成してから約1年、満を持してあるアルバムを世に送り出した。
それが「AUDIO SPONGE」である。
そもそも細野氏と高橋氏は、YMO以前の1969年にバンド仲間として出会っている。以降YMO、\ENレーベルと共同作業を重ねていった。
新作アルバム「AUDIO SPONGE」のコンセプトは「YMOをやる前のルーツ的なもの、細野さんの中にあるニュー・オリンズ的なもの以外と、僕の中のサディスティック・ミカ・バンド的なものを合体させて、それに北欧の音響的なものにインスパイアされた部分をプラスしたって感じ」(高橋氏)だという。とはいえ、筆者をはじめ多数のYMOファン(第二世代以降も含む)からすれば、十年前の「テクノドン」や、YMO中期の「BGM」「テクノデリック」を想起させるアルバムに思えてならない。しかし、「結局、僕と細野さんの声が重なるとYMOになっちゃうんだって発見がありました」(高橋氏)と語っていることから、筆者は「YMOとはまた別のバンド」と解釈する(たぶん皆さんもそう思うだろうなぁ)。
楽曲に関してはSIDE Bに回すので、彼等の最近(2002年8〜10月)の活動を簡単に。
8月9日 青山スパイラルホールにて、デイジーワールドディスク主催〜ストレンジ・ナイトvol.1〜に出演(1曲、坂本龍一氏が参加)。8月31日、さいたまスーパーアリーナに「Wire02」にゲスト出演。アルバム発売の9月17日前後は、TV、ラジオ、雑誌に引っ張りだこの状態。
そして12月には渋谷AXにて単独ライブを敢行(12/3.8.9)。大阪公演も決定した。
(注)高橋氏の言葉は「Sabla」(小学館)より引用しました。
SIDE B ゆーあんみー・みーあんゆー・れっつ・ろっくんろーる
では、「AUDIO SPONGE」の曲リストと個人的(独断的?)な解説を・・・
(記号の意味→W::作詞 M:作曲 A:アレンジメント C・A:コーラスアレンジメント P:Production Data)
曲名 | 作詞・作曲・編曲 | 個人的解説 | |
1 | TURN TURN | W&M:高橋幸宏・細野晴臣 A:テイ・トウワ+Sketch Show |
帰ってきたテクノポップ。CMでも流れていたので印象が強いのでは? 「だんだん自分が分かる」という歌詞に、長い年月を経てたどり着いたミュージシャンの心情が凝縮されている気がするのは筆者だけ!? |
2 | Wonderful to me | W:高橋幸宏・細野晴臣 M:坂本龍一・高橋幸宏・細野晴臣 |
教授がキーボードで参加。Sketch Showに興味を持った教授がニューヨークで作った曲を、Sketch Showが大胆にアレンジした。これじゃ作り方はYMOの時とおんなじ(^^;> |
3 | Microtalk | M:高橋幸宏・細野晴臣・Yasuo Kimoto | その名の通り、いろんな人の声をサンプリングして構成。今風のテクノにも柔軟に対応できるお二方に脱帽。 |
4 | WILSON | W:高橋幸宏 M:高橋幸宏・細野晴臣 C・A:重住浩子 |
コーラスでSMOOTH ACEが参加。Wilsonってかつてビーチボーイズにもいたし、ほかにも意味があるのか・・・?その答えは作者のみぞ知る!? |
5 | Supreme Secret | W:高橋幸宏・細野晴臣 M:坂本龍一・高橋幸宏・細野晴臣 |
クラビとギターサンプリングで教授が参加。 「About What?」を最初「コンバンワ」と聴いてしまい、「何あいさつしてるんやろ?」と思ってしまった。空耳の才能すらないね、俺。 |
6 | Do you want to marry me | W:Corinne Tulipe M:Michel Magne |
カバー曲。「Anyway Do you want to marry me?(それでも僕と結婚したいのかい?)」の歌詞が泣かせるねぇ。 |
7 | Gokigen ikaga 1.2.3 | W:Snekeman Show M:細野晴臣 |
もとはスネークマン・ショウの「咲坂と桃内のごきげんいかがワン・ツゥ・スリー」。 ついつい口ずさんでしまう歌詞が20年たって帰ってきた。細野氏のモノマネも聴ける。 |
8 | Reform | M:高橋幸宏・細野晴臣 | 広い広い空間に引き込まれそうな曲。まさに「音響系」サウンド。 よく聞くと、YMO「コンピューターゲーム」など過去の名曲が聴ける。 |
9 | Flying George | W:高橋幸宏、Tomoko Yoshihashi M:高橋幸宏・細野晴臣 |
タイトルから、二人が敬愛していた元ビートルズのジョージ・ハリスン氏をテーマにしたと思われる。本当に惜しい人を亡くされました。合掌。 |
10 | Turn Down Day | W&M:David Blume、Paul Jerry Keller | 歌い方がかつての幸宏氏の「ニウロマンティック」的で、情緒あふれる作品。こういうアコースティック曲があるから、並のテクノとは一線を画して深みがでてくるんだなぁ。 |
11 | Return | W&M:高橋幸宏・細野晴臣 P:テイ・トウワ |
1曲目をリミックスしたもの。テイ・トウワらしさがよくでている。 |
12 | Theme from a summer place | W:Mark Discant M:Max Stainer |
最後は細野氏のVocalで締めくくり。TIN PAN「Growth」にも何となく似ているが、歌を聴くとなんだかほっとする曲。 |
あんまし参考にならないなぁ。
と思いつつ、気になったら是非聴いて(買って)みてはいかが?
(2002.11.4)
(第3回に続く)